三愛会会誌 172
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佐賀県 文化・観光局 文化課の役割とは市村記念体育館は、もともとスポーツ関係の部署が所管していましたが、老朽化などに伴い、体育施設としての利用を2017年に停止。その後、この建物をどのように活用していくのか検討するために文化課が引き継ぐことになりました。私たちは、この建物の歴史的・文化的価値を大切にしながら、新たな活用で生まれ変わらせ、後世に受け継いでいくことが与えられた役割だと考えています。市村記念体育館の一番の価値とは世界的建築家・坂倉準三氏が設計した美しい意匠が、60年の時を経てもほぼそのまま残されている貴重な建物です。また、外側から見ても内側から見ても美し          らは王冠のように見えるギザギザの外観は、い馬の鞍型をしたつり構造の屋根や、正面か市村記念体育館への思い 納富大介さん(佐賀県 文化・観光局 文化課 )に伺いました見る人たちを魅了する、他にはない素晴らしい建物だと思います。最も思い出に残っていることは何といっても、2018年の明治維新150年にあわせて開催した「肥前さが幕末維新博覧会」が忘れられません!私は当時、この博覧会担当者でしたが、市村記念体育館をメインパビリオン「幕末維新記念館」として活用し、日本の近代化を先導した佐賀の「人」「技」「志」を現代に生きる多くの人々に伝えることができました。総来場者数は目標の100万人を大きく上回る224万人に達し、先人たちの偉業や想いがふるさとへの誇りを深め、新しい志を育んだと感じています。佐賀県民にとっての市村記念体育館とは1963年に「佐賀県体育館」として開館した市村記念体育館は、スケッチ大会、部活動の大会や高校総体の舞台として活用されてきました。青春時代に汗を流し、大きなクスノキの木陰で汗を拭いていた思い出の場所という方も多いと思います。スポーツやイベントを通して、佐賀県民のさまざまな活動の舞台となり、佐賀県民共有の誇り高い財産になっていると思います。今後の活用について市村清さんから受け継いだ思いや、新たな「志」を育んだ維新博の記憶を継承し、いずれこの施設が佐賀の未来を創造する「文化創造」の拠点として生まれ変わってほしいと思っています。11オペラ「夕鶴」公演(1965年)ワルシャワフィルハーモニー交響楽団公演(1970年)市村記念体育館を大切に守りながら、今後の利活用について検討する業務に携わっておられる佐賀県 文化・観光局 文化課の皆さん(体育館の市村清胸像の前で。右から2人目が納富さん)ウィーン少年合唱団公演(1964年)佐賀県体育館創立6周年記念・市村清追悼音楽会(レクイエム)(1969年)

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