三愛会会誌 172
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JAPANに選定されました文化の振興を目的に市村が私財2億1千万円余を投じて寄贈したもので、地下1階・地上4階建て・鉄筋コンクリート造で、建物の高さは一番高い所で約18メートル(5階相当)ありました。のモダニズム建築の巨匠と呼ばれた坂倉準三氏。個性的な建物のデザインはもとより、手触りの良い木製の手すり階段、タイル張りの壁や床、楽屋の椅子、色彩など、至るところに坂倉氏の特徴的なデザインが見られます。けるモダン・ムーブメントの建築」としてDOCOMOMO佐賀県体育館は1963年3月11日、佐賀県民の体育・設計は世界的建築家ル・コルビュジエ氏に師事し、日本なお、2022年、この独創的なデザインが「日本にお体育館の全容    7正面ステージ。屋根の鞍型の形状がよく分かる2階スタンド席外観はジグザグ状の折板を丸くして壁をつくり、その上に中心が凹になる曲線のHPシェル※のつり屋根を被せることにより、柱の無い大空間を実現。正面からは王冠、側面からは鞍型を思わせる個性的なデザインで、東西両側の屋根から地面に突き出た梁が屋根を支えると同時に雨どいを兼ね、その下の大きな円形の枡が雨水を受ける。建物の構造上、窓はすべて平行四辺形になっており、窓ガラスも特注された。 ※HPシェル…hyperbolic paraboloidal shellの略。双曲放物線面を持つ貝殻のような容姿の構造で、壁面が柱の役目を兼ねている競技フロアは1階から4階までの吹き抜けで広さはバスケットボールのコート2面ほど。820席のスタンドを擁し、全国の体育館に先駆けて全館冷暖房、電光掲示板が整備されたほか、ステージも備えている電光掲示板美しい曲線の木製の手すりは年数を経て、あめ色に輝いている平行四辺形の窓壁や床などにタイルを使うことが多いのも坂倉デザインの特徴の一つ坂倉準三氏(1901-1969)岐阜県羽島市出身。1929年渡仏し建築を学んだ後、31年に建築家・前川國男氏の紹介で近代建築の巨匠ル・コルビュジエ氏の建築設計事務所に入所。帰国後は坂倉準三建築研究所を設立。37年のパリ万国博覧会では日本館の設計を手がけ、グランプリ受賞。その後も日本におけるモダニズム建築の傑作を数々生み出した。主な作品:神奈川県立近代美術館、新宿駅西口広場、東急百貨店東横店(現在は解体)、名古屋近鉄ビル、ホテル三愛(現 札幌パークホテル)、他多数。戦後間もなくの時期に渋谷の街をデザインしたのも坂倉氏である。

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