三愛会会誌 No.175
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アイデアを出そうと思ったら計画は5年先にピントを合わせるアイデアは疑問から生まれるグチや夢にもヒントが潜む創意工夫とは一対一の約束は必ず実行する『市村清実践哲学』『明日への着眼』『そのものを狙うな』 ai』 30号/ 『市村清実践哲学』『市村清講演集』『□ける経営法□かる経営法』 『市村清実践哲学』『そのものを狙うな』/ 『市村清実践哲学』『□と虹と』『明日への着眼』 / 『市村清実践哲学』『明日への着眼』 / 『市村清実践哲学』『市村清実践哲学』-3 『市村清実践哲学』『□と虹と』 『San大和銀行札幌支店主催講演会『中小企業経営の諸問題』(1962)私が不遇になった時、多くの人が厚意を示してくれた。その厚意に報いるためにも、絶対再起せねばならぬと勇気付けられた。本当の善意は人を動かすのだ。そして、最も命がけで力になってくれるのは、やはり女房である。無理して□けても、もしその反面、信用を失ってしまえば大きなマイナスだと思う。お金は大切だが、信用の方がもっと大切である。信用を得るには一生懸命やればいい。お金は無理せずに、自然に□かるものでなければならない。感光紙1本の注文でもすぐに届けるようにしていた。すると、「感光紙はあそこの店で買え」と、お客さま自らが宣伝してくれるようになった。どんな小さなお客さまにも誠心誠意尽くすこと。そのお客さまはきっと君たちのセールスマンになってくれる。大ヒットをおさめた婦人のおしゃれ専門店「三愛」の発想は、デパートの女子トイレでの会話から女性たちの趣味嗜好を探るという奇抜なマーケットリサーチから生まれた。成功に秘訣があるとすれば、他人の立場を理解し、他人の立場から物事を見る能力を持つことである。日本人はよく間違いを起こしておいて、酒の上のことだから勘弁してくれと言うが、これくらい卑怯なことはない。酒を飲んだときこそ、その人の本性が現れる。最初に酒後の姿を見ておけば、無責任な人間と手を携えることはあるまい。人間は感情の動物であるから、好き嫌いに任せて人を用いれば、同じような型の者ばかりが集まって、事業そのものに偏りが生じる。人を選ぶには、人の資質や能力を見る目、すなわち理性の目が必要であり、従業員を好き嫌いで区別してはいけない。 『そのものを狙うな』 お世辞がうまかったり、ただ気に入られようと立ち回っている人に、本物はいない。会社を良くしようという立場にあるものは、お世辞などに惑わされず、もっと奥深いものを絶えず見ている。目先のことばかり気にする器の小さい人間には、本物を見分けることができない。かつて人間は飛べないと思っていた。しかし、ライト兄弟は、人間ならば飛ぶ方法を発見できるはずだ、という前提に立ち、飛行機の発明に至った。最初からあきらめては何もできない、必ずできるという前提に立って考えようではないか。人は大きな問題には真剣になり、小さな問題は軽く扱いがちだが、これがそもそもの間違いなのだ。小さなことを重く見て処理しておけば、大きな問題は起こらないし、仮に起こっても軽くすむ。小さなことに対する態度が、成功するかしないかの分岐点なのである。アイデアは簡単には生まれない。何かのヒントが非常に重大だ。そのヒントを見逃さないためには、何から何まで絶えず関心を持ち続けることが最大の効果をあげる。普通の商品なら1歩先んずる、さらに恒久的なものでは3歩ないし5歩先を見ておくのが、市村経営の流儀である。札幌のホテル三愛は、国民の生活水準の向上も見据えて、5年先にピントを合わせて計画した。アイデアの生まれる根本は、第1に現状を否定すること、第2に疑問を持つこと、第3にその疑問を追究することである。世の中にアイデアの種はいくらでもある。新しい商品のヒントは大きな夢と、足元の小さなグチや不満などに、その種が潜んでいる。グチは快適の夢と裏腹のものであるからだ。電気□は、ご飯がうまく炊けないという若夫婦のグチにヒントを得て開発された。『そのものを狙うな』 上海での監房生活の間に、同房者に頼まれて将棋の道具を作る。駒の材料はトイレットペーパーの芯、盤は4つ合わせた木枕、文字や線を書く墨は水で溶いた煙突のスス‥‥。創意工夫とは、考え、想像できる人間の頭脳の素晴らしさにある。何事においても、懸命に創意工夫すれば、道は開ける。会社同士の紙の上での約束を仮に破ることがあっても、人間一対一の約束は必ず実行するよう努めてきた。他人の立場を理解する酒後に人を見よ好き嫌いで区別するなお世辞に注意できないではなく、できるという前提に立つ百万円の客より百円の客人を支える厚意お金よりも信用が大切お客さまもセールスマン◉市村清の処世法◉幸恵夫人と北海道旅行へ(1943)三愛ドリームセンター完成披露宴(1963)

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