三愛会会誌 No.177
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ーー 市村清新技術財団の今後の目標や展開などについて中村 市村賞受賞フォーラムに大学生や大学院生が大勢参加してくれていますが、彼らのような若い研究者の活動を支援して次世代の人材を育てていきたいと思います。少年少女創造性育成のための市村アイデア賞もありますが、市村の遺志でもあるこれからの日本を担う人材を育成していくことが使命であると考えています。そのためにはより一層、対外的なコミュニケーション活動を強化し、ホームページのリニューアルやロゴマークの新設など広く一般の方たちからも認知していただけるようPR活動を展開していくことに重点を置きました。市村清新技術財団の存在意義を世の中に発信し、日本の科学技術の発展に貢献していきたいと思います。 それから、市村の思い出が詰まった財団の建物ですが、市村邸として竣工してから70年余りを経て老朽化も進み、メンテナンスだけで維持することが難しくなったため、建て替えが決まりました。しかしながら、市村がデザインや使用材料にまでこだわって築かれた建物ですから、建て替えにあたってはできる限り当時の意匠や市村の思いを残し、遺志を受け継ぐ方針です。大田区をはじめ、地域住民の皆さまへの説明会も実施しました。今では財団周辺にお住まいの方でも市村を知らないという方がほとんどなので、できるだけ丁寧な説明を行い、ご賛同いただきました。7    内さんに協力してもらい、研究者とのトークセッションを行い受賞技術を広く理解していただくことも行っています。ーー 印象に残っている過去の受賞テーマは中村 これまでの多くの受賞テーマの中で記憶に新しいのは、デンソーウェーブさんの『二次元コードの開発と進化』です。いわゆるQRコードの開発ですが、この技術の先進性や汎用性に着目し、2019年に本賞受賞となりました。現在では世界標準になり、日本で開発されたものが世界に羽ばたいたことは栄誉であり、素晴らしいと思いました。それから、2024年に本賞を受賞した東レさんの『高機能快適繊維素材に資する超精密複合紡糸技術』です。この新繊維が生まれるまで、化学繊維は大きくはナイロン、ポリエステル、アクリルの3つに分類されました。ナイロンは水を吸収し、ポリエステルは水を弾き、アクリルは保温性が高い。この3つの利点を生かした機能性に優れた新繊維は、その後世界中の繊維業界で採用され、私たちの生活を一変させました。ーー 植物研究の助成について中村 市村夫妻の別荘であった「清恵荘」(熱海市)の所有が財団に移った時に、この施設の利用の仕方として植物研究園にすることを決め、開設しました。研究者からの評判も良く、植物分野の若い研究者たちがひっきりなしに園を利用しています。アクセスが良く宿泊も可能ですから、長期間滞在して研究に没頭する若い助教や講師もいます。研究者の三分の一は女性です。植物分野は派手さはありませんが人類にとって不可欠なものです。新事務所は、財団設立60年の節目の年でもあ林 る2028年6月完成予定です。市村清の歴史的な遺品を展示するギャラリーを併設するなど、過去から受け継がれている現在の財団の建物の雰囲気をなるべく残しつつ、これからの100年につなげられるようなものとしていきたいと思います。ーー 今回は貴重なお話をありがとうございました。新事務所の完成を楽しみにしています。財団の庭で。中村会長(右)と林事務局長

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