今月の市村清
Monthly
“今月の市村清”―2025年12月編―
「この子たちに愛の手を」の思いが形に
―愛の手募金活動から50年―
1975年12月、社員たちによる「この子たちに愛の手を」の呼びかけで始まった愛の手募金の活動は今年で50年目を迎えました。
愛の手募金は、1961年に市村清の善意からスタートした市村遺児育英会が発端となっています。同年1月、市村は病死した三愛石油の社員の葬儀に参列した際、まだ中学3年生だった長女と小学校4年生だった長男が悲しみに暮れる姿を目にし、胸を痛めました。そして、一家の柱を失った遺族に救済の手を差し伸べようと提案。これを受けた三愛会理事会の審議により設立された市村遺児育英会が、愛の手募金の礎となったのです。当初の育英会は市村のポケットマネーを基金として運営されていましたが(1964年から三愛会会員各社の会費により運営)、この意義ある制度に本当に血を通わせるためにはグループ社員一人ひとりの自発的な参加こそが大切との声が高まり、1975年12月に第1回の募金活動が行われました。
この時参加した三愛会会員会社は35社5団体。各職場の若手社員による実行委員が中心となり手作りした募金箱で呼びかけた結果、予想を大きく上回り、当初の目標金額200万円の倍以上となる450万円を超える募金が集まりました。
そしてこの年の12月25日、遺族を招いてクリスマスパーティーを開催し、そこでサンタに扮した実行委員から子どもたちへクリスマスプレゼントを、お母さんたちに愛の手の募金から遺児一人あたり5万円のプレゼントが手渡されました。パーティーの最後、みんなで「きよしこの夜」を歌ったとき、お母さんたちも実行委員たちも感動で涙ぐんでいました。
社員たちの声から始まった愛の手募金活動は、1976年5月、『愛の手委員会』として正式に発足しました。
「わたしたちの心をつなぐ愛の手」の合言葉を元に展開されたこの活動は、市村の物故社員遺族へのあたたかい配慮からスタートし、リコー三愛グループ社員の人を愛する心に支えられて年々広まり、現在に至っています。
今年も11月17日から愛の手募金活動の強化期間が始まっていますが、この愛の伝統をこれからもつないでいきたいと思います。