今月の市村清 Monthly
“今月の市村清”―2026年9月編―
経営者としての悩み
―自分の方針を貫くべきか否か―
『三愛会会誌 第177号』を8月20日に発行しました。PDF版・デジタルブック形式どちらも三愛会ホームページから閲覧出来ます。今回の特集は「市村自然塾の活動」として、市村自然塾 関東と九州で活動している子どもたちの様子などを紹介しています。塾の狙いの一つに“自分の事は自分でやる力を育む”ということで、スタッフの方々はできる限り指示や命令をせず、子どもたち自らが考えて行動できるように配慮しながらフォローしていると伺いました。そしてふと、市村が著書の中で“経営者としての悩み”について触れているエピソードが頭に思い浮かびました。
市村は常に、従業員は使用人ではなく事業の協力者と思い接していました。自身の方針として“指導すれども監督せず”という考えのもと、従業員を信頼し、あれこれ命令するようなことはしませんでした。
ですが、それが本当に正しいやり方かと言われれば、従業員によっては“まあ、こんな具合でもいいいか”と適当に仕事をするものもいるかもしれない。ならば監督するというやり方もあるが、そうするとかえって監督するものがいる時は仕事に励み、いない時は息を抜くというのが習慣になってしまう恐れもある。それなら経営者として、自身の方針に背くことになっても、もっと遠慮なくビシビシ発破をかけて従業員の意欲を奮い立たせるべきかもしれない、と思い悩んだことがありました。
そうなると、社員が心から会社のためにやろうという気を起させなければダメなので、それにはどの方法がいいのかという悩みが出てきます。頭ごなしに指導や命令をしたり、大げさに褒めておだてて働かせるのも違う。市村が夜も眠れず考え、あれこれ実践してみて気が付いたのは、何が正解なのかが大事なのではなく、自分自身が“このやり方でいいんだ”と自信を持って社員に発信すれば、社員も信頼し応えてくれる。
自分は経営者だからと澄まして調子に乗っていたら、社員は離れてしまいどんどん孤独になってしまう。だから指導者であればあるほど、できるだけ皆に溶け込む工夫をする、一緒になって騒ぐぐらいの心構えが必要ではないか。
もちろん、心の底にはしっかり経営者としての信念を持ちつつ、本当に混然一体となるという意気込みで社員と接すれば、社員はおのずと意欲的に仕事をするようになる。
経営者であるが故の不安や悩みと常に葛藤していた市村。“雲の上の人”と市村を表現する人もいますが、このようなエピソードを知ることで、少し距離が近く感じませんか。