今月の市村清
Monthly
“今月の市村清”―2025年8月編―
佐賀の人々の誇り 市村清
―生誕125年記念 故郷佐賀ツアー―
今年度の三愛会は市村清の生誕125年を記念した施策を展開しています。不屈の精神で68年の生涯を駆け抜けた市村を紹介した特設サイトの制作や三愛会会誌の特集など市村のことをもっと知ってもらう、共感してもらえる企画に取り組んでいます。そして、故郷佐賀のゆかりの地を巡る佐賀ツアーを開催しました。
梅雨入り前の6月初旬、九州の強い日差しと心地よい風、どこまでも広がる青空のもと佐賀ツアーが始まりました。ゆかりの地はサガテレビのある佐賀城周辺と生まれ故郷みやき町の2ヵ所に点在しています。市内には理研感光紙の九州総代理店の権利を譲渡してもらった吉村商会を営む佐星醤油があり、ここで吉村吉郎氏に出会ったことが事業家市村清のはじまりでありリコーの創業に繋がります。故郷への恩返しとして私財を投じ、日本を代表する建築家 坂倉準三氏が手掛けた市村記念体育館。落成から60有余年を経てもなお圧倒的な存在感と威厳を感じる造形で、佐賀県庁の居石さんから建物としての価値や佐賀県民に親しまれてきた体育館の歴史を聞いていると胸が熱くなりました。居石さんは会ったことも無い市村の思いをどうしてこうも上手に丁寧に伝えてくださるのでしょう。市村を敬う姿は清らかであり誰もが市村をリスペクトしていることが感じられます。幸恵夫人が寄贈した茶室清恵庵は現在も日常的に茶会や茶道研修会等に利用されており、ガイドを引き受けてくださった佐賀県立博物館の渡部さんは「日々、利用されていることで建物が息をしているので古くなりましたが、大きな改修もなく完成時の状態を保つことができています。」と。県民の皆さんが大切に使用していただけるお陰と思います。
佐賀県の北東部に位置するみやき町。市村はみやき町の名誉町民であり、町の施設に「市村清記念 メディカルコミュニティセンター」と名前が付いていることでもみやき町の皆さんが格別な思いをお持ちであると想像ができます。724年創建の千栗八幡宮では東宮司から貴重なお話を伺いました。千栗八幡宮のお内陣の鉾、剣、勾玉などの装飾品は市村の寄進によって揃えられたもので、今では手に入れることができないほどの名工の品とのことです。東宮司は「市村先生には感謝という言葉では言い尽くせない。感謝という言葉だけでは足りないけれども、他に言い表す言葉がみつからないほどのことをしていただいた。」また、「人は皆、この世に生を受けたということは何らかの使命があると思います。市村先生が創った会社で働く皆さんはご自身が成すべきことを理解されていると思うので、皆さんのご活躍を祈っています。」とエールを頂きました。
公園として整備された生家跡と母校北茂安小学校には市村の胸像が設置されていて、市村の優しい笑顔が街を子供たちを見守っています。佐賀には、いまも人々の心の中に市村が生きているようで魅かれあう縁を感じます。ガイドを引き受けてくださった皆さんのお話は心に響き、参加者一同創業者の功績を誇りに感じました。市村が育った場所に立ち市村が見たと思われる景色を見て市村の思いに触れ、グループの一体感を強く感じるイベントとなりました。ご協力いただきました関係各所の皆様に深く御礼申しあげます。
